染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
国内のマスク需要
新型コロナ禍の影響で、アパレル産業は世界的に大きなダメージを受けていますが、繊維製品の中で唯一販売量を伸ばしているのがマスクです。国内では一時的にマスク不足が深刻な状況となりましたが現在はどこの店頭にも数種類のマスクが並ぶようになりました。 昨今、外出時のマスク着用は当たり前となりファッション性の高いマスクも増加しています。 そこで、国内マスク流通量の推移と今後の課題について紹介します。
国内のマスク流通量推移
  全国マスク工業会の調査によると、2020年度の予測流通量は100億枚以上で、2019年度の65億枚を大きく上回ります。ただこれは加盟企業だけの数字であり、実際は新規参入企業の増加でもっと流通していると予想されます。また昨年までは流通しているマスクの80%が輸入品でしたが、政府支援の影響で現在は国産品比率が50%まで回復しているそうです。 グラフ① 国内マスク流通量推移 (引用:全国マスク工業会)
マスクの種類と流通量
  マスクには3種類あるが、家庭用(約78%)と医療用(18%)の2つで96%を占めています。これまでマスク需要は一過性的な要素が強く設備増強に踏み切る企業は少なかったですが、今回の新型コロナ禍は長期に及ぶとの思惑により、国内の増産体制を決定した企業が多いようです。 表(1)マスクの種類別流通量
種類 2018年実績 2019年実績 伸び率
家庭用 4,284 5,060 18%
医療用 995 1,153 16%
産業用 259 242 -7%
合計 5,538 6,455 17%
  (単位:百万枚) 
今後の課題
  国産品、輸入品の増加により市場の供給量や価格は安定傾向ですが、課題もでてきています。その中の一つが製品品質表示の問題です。ドラッグストアで販売される製品は医薬品医療機器法に該当しない「雑品」となるので商品パッケージに記載できる内容は限定されますが、一部で違反表示の商品が流通しているといわれています。冷感、温感、抗ウイルスなどこれまでにない機能をアピールする商品が増加しており、機能不足との苦情も出ているとの報告も。 次に安全管理面についての課題です。一時的に粗悪品が出回ったことは記憶に新しいと思います。工業会加盟企業は基準に沿った安全・品質管理体制が構築されていると思われますが、新規参入業者の製造・販売品に関しては不安要素が多いと予想されます。消費者が感染防止目的で常時着用するマスクだけに、粗悪品が出回らないことを強く要望します。