染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
繊維のリサイクル技術
わが国では環境負荷の少ない社会の形成を目的として、1999年に「循環型社会形成推進基準法」が公布され、「容器包装」「家電」「建設資材」「食品」「自動車」に関しては個々にリサイクル法が施行されました。しかし、繊維製品に関しては規定されておらず、繊維素材の回収・資源化量は現状、総排出量(約170万トン)の約10%と欧州の回収率(独:65%,仏38%%)に比べ非常に劣っています。業界では各社が独自技術を駆使した方法で繊維のリサイクルを始めています。今回は最近報道されたリサイクル技術の一部を紹介します。
繊維リサイクル技術のトピックス
キーワード 技術の概要 企業
エアバッグ シリコーンコートエアバッグ素材から、バージン由来原料
で生産したものと同レベルのナイロン66樹脂を作る技術
東レ
PU混PET ポリウレタン樹脂混の素材からポリウレタン樹脂を除去する技術を開発
これにより、リサイクル効率が大幅にアップ。
帝人フロ
PLA繊維 PLA繊維のケミカルリサイクル技術を開発 バイオワークス
炭素繊維 精密還留法により樹脂含浸性がバージン炭素繊維と遜色ない
リサイクル炭素繊維を開発
富士加飾
水平
リサイクル
ワイシャツを分解・再生して再びワイシャツに戻す
「水平リサイクル」ビジネスをスタート
日清紡
ポリアミド66 マイクロ波を利用して、直接モノマーに戻すケミカルリサイクル技術を
開発。対象素材はエアバック基布その他
旭化成
混紡品の
識別技術
繊維組成や原産地等のデータが入った目に見えない繊維を開発。
この繊維は服に織り込まれバーコードのように読み取られ、
廃棄時の分別が非常に容易になる
米国ミシガン大学
布団
リサイクル
カーペット・敷布団を回収し、破砕、熱エネルギーに活用後、
セメントの原料として利用するとい実証実験を開始
ニトリ
タケエイ
住友大阪セメント
再生PET PET繊維をモノマーに分解・変換後、再生PETを造る
ケミカルリサイクル技術をライセンス供与する合弁企業を設立。
伊藤忠
帝人
日揮HD
ベトナム
エアバッグ
ベトナムでエアバック端材から、ナイロン66樹脂を再生する 事業を開始 豊田合成
繊維製品のリサイクルは環境改善に大きく貢献

(南米の荒野に廃棄された衣類 )

南米の荒野に膨大な量の衣類が廃棄されている様子がTVで報道されたことは記憶に新しく、世界では毎年約9,200万トンの繊維製品が破棄され、そのうちの85%以上が埋立地に廃棄されているとのこと。

革新的な技術によりリサイクル率が向上すれば、環境改善に大きく貢献しますが、複合素材の普及がリサイクルを難しくしています。 欧州ではすでに近赤外線を利用して、綿、ポリエステル、アクリル、ナイロン、羊毛、ビスコース等を自動分別する装置が稼働しており、まもなく日本にも導入予定だそうです。

今回紹介のリサイクル技術はほんの一部ですが、すでに国外での実用化も進められています。これからはリサイクル技術の開発をだけでなく、世界的なアパレルを中心にリサイクルを前提とした製品づくりが加速するでしょう。 また社会において繊維製品の分別回収が当たり前となれば、繊維製品による環境汚染は急速に減少すると考えます。