染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
大気中のマイクロプラスチック汚染問題
海洋マイクロプラスチック汚染が問題視されて以降、あらゆる業界で廃プラスチック対策が進められていますが、大気中のマイクロプラスチック汚染問題についてはまだ注目度は低いです。しかし人体からマイクロプラスチックが検出されているとの報告が相次いでいることから、発生源がどこで、どのような健康被害が懸念されるのか情報を整理しました。
発生源はどこか


ユタ州立大学の研究グループは、道路から84%、海のしぶきから11%、土壌から5%と推測しています。
道路沿いの大気からはタイヤやブレーキの摩耗塵や靴底に使用される樹脂、道路標識から発生する樹脂などが考えられますが、海のしぶきとはどのようなものでしょうか。
能登半島の波の花と海岸近くの海水に含まれるマイクロプラスチック濃度を比較した結果、海水では1立方メートルあたり数万個ですが、波の花からは海水に比較し130~600倍のマイクロプラスチックが検出されています。この影響で珠洲市は冬になると大気中のマイクロプラスチック量が増えるといわれています。田畑でよく使用されているビニールシートや衣服も発生源です。カナダの研究チームは、家庭用ドラム式乾燥機1台から年間で約1億本のマイクロファイバー(合繊)が放出されていると報告しています。このように発生源は身の回りのいたるところに存在しているのです。
人体にどのような影響があるのか
各国の研究者から次のような報告がなされています。
例1.マウスに劣化させたPETを経鼻投与したところ気管支喘息と似た症状が発生
例2.ポリスチレンを投与したマウスでは脳に炎症が起こっている事が確認された
例3.イタリアの研究チームは微小プラスチックが頸動脈の隆起に蓄積し、脳卒中のリスクが4倍以上に高まると警鐘を鳴らしている
例4.動脈硬化で治療を受けた人の6割近くで細かいプラスチック成分が検出されている
マイクロプラスチックより更に細かいナノプラスチックが、すでに人体のいろんなところに蓄積し、健康に悪影響を及ぼしているとの報告が急増しています。 
マイクロプラスチック削減のために

マイクロプラスチック問題を解決するには大幅な削減が必要ですが、プラ市場は年々増加傾向にあります。国連環境計画(UNEP)が昨年5月に出した報告書によれば、プラスチックの需要は近年急増しており年間生産量4億3000万トンのうち3分の2が使い捨て製品で、約1億700万トンが環境中に流出しています。欧州連合(EU)は今年3月、包装廃棄物の削減に関する新法(一部の使い捨てプラの使用禁止)に暫定合意し環境対策を強化していますが、世界で最も廃プラの流出が多いアジアでは未だ目立った対策が実施されていません。大気中のマイクロプラスチックが人体に悪影響を及ぼしている事を広く周知させ、各国が目標を定めて真剣に削減に取り組むことが急務と考えます。