染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
プラスチック及び繊維による海洋汚染(1)
世界的に環境問題に関する問題が取り上げられている中、今年に入り海洋汚染に関する興味深い報道がありました。 その中の二つについて考察します。 最初は、プラスチック(包材)による海洋汚染状況と対策についてです。
人は年間5万個を超える微小プラを摂取している!?
人は食事を通じて年間5万個を超える微小プラを摂取している恐れがあるとの報道。 これは英ハル大学などのチームが世界各地の魚貝類に含まれるマイクロプラスチックを調査した結果です。 米国立衛生研究所の雑誌(3月号)に掲載されました。 魚介類を多く摂取する日本人は世界平均より多い13万個に及ぶと推定。 国や地域別でみると香港、マカオ、韓国、中国本土などアジア諸国の摂取量が多く、欧州ではノルウェーやスペインが多い結果でした。(Fig①)
各国のプラチックによる海洋汚染防止対策
国 名 プラ製品に対する主な法規制や取り組みの状況
日本 プラ製品の削減を義務化。 3月9日にプラスチック資源循環促進法に関する法律案を閣議決定し今国会に提出。 家庭から出る食品トレーや文具等をプラスチック資源として一括回収。 包装資材や建築資材等を大量排出する事業者にリサイクル推進を求める等。 国内で出るプラごみは年間800万トンを超えるといわれている。
中国 2020年、環境保護を目的に使い捨てプラの使用禁止を打ち出した。 スーパーやショッピングモールで買物袋の提供を禁止し、 23年末までに市内すべてのホテルで使い捨てプラ用品を提供しないように求める。 生産・使用禁止等を細かく分類し、監視体制を強化している。 今年に入り電子商取引(EC)事業者に対するプラスチック製品の使用削減のための施策も公表した。
米国 プラスチック軟包材(FPP)の材料リサイクルを実証する取り組みが、 大手化学メーカーや食品メーカーが参加して行われており、 2019年1年間で資源ごみからFPPを74% 回収できたとの報告あり。 回収品は屋根材等に再利用予定。
インド 2022年までにすべての使い捨てプラスチック製品を禁止する取り組みが進んでいる。 2019年からは、皿、カップ、小型ボトル、ビニール袋等、 小袋6種類の使用禁止に関する取り組みが始まっている。 プラスチックの年間消費量は約1400万トン。
欧州 環境規制の厳しい欧州は12019年に「プラスチック指令」を 出して海洋ごみ問題に取り組んでいる。 この指令では海洋ごみ上位10種類の使い捨てプラ製品(全体の70%)の廃棄量を 2030年までに半分以下にすることを目指している。 ただし製品の特徴に応じて柔軟な対応も取られている。
日本の法規制は諸外国に比べ遅れている印象が否めませんが、各企業による独自の廃プラ対策やリサイクルの動きは非常に活発化してきています。廃プラに起因する海洋汚染が人体に深刻な影響を与える前に、総力をあげて解決すべき問題だと考えます。