染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
プラスチック及び繊維による海洋汚染(3)
繊維屑の海洋汚染対策に積極的に取り組んでいる欧州CIA
2017年以降、欧州では海洋プラ問題の中でマイクロプラスチック発生源の1つとして家庭洗濯による繊維の流出が社会問題化していました。
そこで欧州の繊維産業界は、この問題に対し科学的根拠に基づき対策を検討することや正しい情報発信を行う目的で、2018年1月に欧州CIA(Cross Industry Agreement)を設立。
当時、日本ではまだ社会問題化していませんでしたが、情報収集や測定方法の開発は重要であるとの認識から、日本化学繊維協会や(一財)カケンテストセンターが共に欧州CIAの活動に参画しています。  
CIA参加の5団体とは
①欧州繊維産業連盟
②欧州化繊協会 
③欧州アウトドアグループ
④欧州スポーツ用品産業連盟
⑤国際石鹸洗剤及び清掃用品協会
用語の統一化
欧州CIAのリーフレットでは、繊維屑を表す用語として「ファイバーフラグメント(fiber fragment)」と明記しています。
極細繊維であるマイクロファイバーと区別するためであり、今後は国内でも普及すると思われます。
洗濯時発生の繊維屑測定方法の検討状況
欧州CIA提案処方と日本提案処方の長所・短所は下表のとおりです。
ともにISO/TC38(国際標準化機構の中で繊維に関する国際規格を制定する技術委員会)において標準化テーマとして承認され、2023年頃のISO国際規格制定を目指して規格内容の精査・検討を進めている状況と聞いています。
測定方法 特 徴 その他
■欧州CIA提案の測定法
洗濯を模倣した方法により
生地から発生する繊維の定量化
洗濯を模した加速法であり
効率的に測定可能
・実際の洗濯と比べ発生量が多い。
・試料は生地片に限定される
■日本提案の測定法
洗濯機を使って繊維製品から
発生する繊維の定量化
実際の洗濯に近い条件
で繊維量を測定可能
・測定効率の点では、欧州
CIAの測定法に劣る


河川や海洋に流出される繊維屑の有害性に関しては、一部研究が行われていますが十分な報告がされていないので早い時期の究明を希望しています。 繊維屑の発生源は洗濯機だけでなく、製品ライフサイクルのすべての段階で発生している事も広く伝えていく必要があると言われていますが、 まずは洗濯機から発生する繊維屑の定量化法を確立し、国際的な取り組みとして削減を進める事が望ましいと考えます。 今年6月に開催された欧州委員会において、海洋汚染の原因物質に関するガイドラインが決定し、議論されていた再生セルロース(レーヨン、キュプラ、リヨセル等)は非プラスチックと定義されました。 又、国内では6月4日に「プラスチック資源循環促進法」が成立するなど、海洋汚染対策に関して大きな一歩を踏み出す年になりそうです。(参考資料:日本繊維産業連盟HP)