染色整理仕上機械など産業機械の設計・製造・販売
花山工業株式会社
RCEP(東アジア地域包括的経済連携)合意と繊維産業
RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)が今年11月に合意されました。 2012年の立上げ宣言以降大幅な遅れや、インドが参加を見送ったことは残念ですが、政府は大いに歓迎すべきと報道しています。RCEPの経緯に関しては1月のマガジンにて報告済みなので今回は合意後の動きについてまとめました。
RCEP発行で関税が即時撤廃される工業製品の例
 
国・地域 対象品の例 (抜粋)
日本 繊維•繊維製品の殆ど 無機化学品•有機化学品•プラスチック製品等の殆ど
インドネシア 卑金属性を除くスライドファスナー、 釣り針、ウイッグなど
中国本土 診断用•理化学用試薬、フェロニッケル、 自動車エンジンポンプの一部
韓国 ブタン、布地巻取機、スピンドルフライヤーなど
フィリピン 苛性ソーダなど
  (出所:経産省HP)  各国で即時撤廃の対象品は異なると共に、相手国によってその内容が異なってくるため、参加国の動向を業種別に注視する必要があると考えます。
我が国の工業製品関税に関する内容の概要(抜粋)
 
品目名 具体的品目 対ASEAN 豪州・NZ 対中国 ペースレート (2014年)
繊維 糸、織物他繊維 (衣類除く) 殆どは即時撤廃 即時、11年目撤廃 11年目撤廃 2~12.6% ほか混合税
衣 類 殆どは即時撤廃 一部は16年目撤廃 殆どは16年目撤廃 一部は11年目撤廃 4.4~13.4%
工業用アルコール 変性アルコール 16年目撤廃 除外 27.2%他従量税
エチルアルコール 16年目撤廃 除外 10%
化学 無機化学品、有機 化学品、PS製品 殆どは即時撤廃 即時、11年目撤廃等 1.6~6.5% ほか混合税
  (出所:経産省HP 2020.11.) RCEP協定署名を受けて日本繊維産業連盟の鎌原会長は、「RCEPは、中国及び韓国との初のFTAであり、繊維業界にとって大変意義深いものと捉えている。早期の発効に向けて各国が速やかに批准を図る事を期待する。」とのコメントを発表しました。 日本の繊維・繊維製品の輸出内訳(2018年)を見ると生地が32%とトップであり、次にその他繊維2次製品(31%)、糸(12%)、原料(10%)、炭素繊維(9%)、衣料(6%)と続きます。 つまり我が国はワタ、糸や生機などを輸入し、染色、整理、仕上げなど付加価値加工を行い輸出しているのです。 今回の合意をばねに国内で染色加工された生地の輸出が拡大することを期待しています。